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映画『アリゲーター』の解説(ネタバレ有)B級映画ながら質の高い巨大モンスターパニック物語。

akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『アリゲーター』です。

1980年公開のモンスターパニック映画。
監督ルイス・ティーグ、脚本ジョン・セイルズ。91分。

『下水道のワニ』という都市伝説をベースに作られた本作。
脚本のジョンは『ピラニア』や『ハウリング』などのモンスターパニックを得意とした脚本家です。

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映画『アリゲーター』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Video定額 ※1
NETFLIX×
Hulu定額 ※1
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。

この記事の情報は、2024年1月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『アリゲーター』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

殺人課の刑事マディソン。薄毛の頼りなさげに見える男だ。

冒険への誘い

ペットの失踪、下水処理施設で死体の一部が見つかるという事件が起きる。ペットは死体となって見つかるが、異常なほど成長している。

冒険の拒否

ペットショップの店長が街で犬を盗み、製薬会社のアーサーに実験用として売っていた。店長は警察に睨まれていうと話すが、アーサーは止めようとしない。犬の死体を捨てに下水道に行った店長が巨大ワニに食われる。

賢者との出会い

犠牲者はさいごに下水道にいたと知り、マディソンは捜索に仲間を募るが誰も来ない。ケリーが立候補する。

戸口の通過

マディソンは過去に相棒を亡くしており、皆からそれで敬遠されている。二人は下水に入り、巨大ワニに遭遇。ケリーが食われてしまう。

試練、仲間、敵

博士のマリサに巨大ワニについて話をするが、信じてもらえないマディソン。新聞記者が巨大ワニに襲われる。食われるが、写真が残る。

最も危険な場所への接近

巨大アリゲーターを倒す大規模な計画をするマディソン。

最大の試練

マディソンの計画は失敗。巨大ワニは街中に現れ、人を襲い、再び姿を消す。

報酬

マリサとタッグを組むマディソン。巨大化したペットの死体を調べた結果、ホルモンの異常に気づく。アーサーに再び会うマディソン。巨大化する薬を研究しているが、副作用で食欲増大がでてしまうと話すアーサー。

帰路

アーサーは社長にマディソンのことを話し、権力を使われクビになってしまうマディソン。

マリサと恋人になるが、喧嘩してしまう。

復活

巨大ワニがアーサーの披露宴に乱入し、アーサーや社長を殺す。

マリサと仲直りしたマディソン。下水に逃げた巨大ワニを爆破し、倒す。

宝を持っての帰還

安堵するマディソンとマリサ。新たなワニの子供が下水に捨てられる。

映画『アリゲーター』のテーマ

ただ巨大モンスターが暴れ回るだけではそのシーンは面白くなるかもしれませんが、映画単位の長い時間で見るとやはり面白みはありません。この映画には『なぜ巨大なワニが生まれてしまったのか?』というところにテーマを表しています。

自然を軽視すると痛い目にあう

これがテーマです。

遺伝子操作をするという人間の身勝手な行動が悲劇を生んでしまいます。物語終盤にとんでもないご都合のようですが謎にパーティーに乱入し悪役を食い散らかすシーンは、わかってましたけど待ってました!のように思えて爽快ですね。ちなみに、オープニングでペットのワニを下水に捨てたマリサの父親も早死にしています。

映画『アリゲーター』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。ワニのショーを見ているマリサ。ワニが飼育員を襲う。モチーフが巨大ワニのモンスターなので、まずは普通の大きさのワニが襲うというアクションを使って観客を引き込ませていますね。マリサの幼少期を使って、マリサの紹介とワニが下水に捨てられるという物語の始まりを見せます。

12年後。ペットショップで子犬を買うマディソン。マディソンの薄毛、職業は警察、ペットの失踪が多発、ペットショップの店長の印象付け、と様々な要素をこのシーンで説明しています。

事件が発覚したら悪役の視点で店長の行動のシーン。サスペンスの定番として悪役は映画の前から行動を開始しており、この作品でも製薬会社の研究・犬の窃盗などがすでに始まっています。店長役は悪役の説明に使い、必要なくなったら巨大ワニの犠牲者にもなるというおいしい使われ方になっていますね。

会見のシーン。マディソンの過去をついてくる新聞記者。主人公の過去を悪役の攻撃を使って説明するのはとても上手いですね。マディソンに射殺だと言わせるのも素晴らしいです。主人公を徹底的にいじめる方が面白くなりますからね。さらに新聞記者の顔を覚えさせる行動にもなっており、無駄が一切ありません。

ケリーとともに下水に向かう準備をするシーン。薄毛を指摘し、自爆テロがやってくる。主人公へのいじり、緊張感のあるシーン、マディソンの能力の高さ、ダイナマイトの伏線。このシーンでも一つのシーンで多くの情報を与えています。

記者会見でマディソンの過去を匂わせ、若い警察官のケリーを使って職場でのマディソンの立場や状況を観客に伝えます。皆マディソンの相棒になりたくなく、毛嫌いされているんですね。その中でもケリーはマディソンについてきた。ケリーの良いキャラぶりを見せ、しかもその後の悲劇のフリにもなっています。

『ケリーが巨大ワニに殺される』これが第二ターニングポイントです。

ケリーがいなくなり、イタズラだとわかって安堵したところでいきなり巨大ワニが襲ってくる。緊張と緩和を使った良いシーンです。

再び相棒が殺されてしまった。マディソンの心のからを破る障害になります。

第二幕

巨大ワニを見たと話すマディソン。署長にも精神を疑われるようになり、さらに立場が悪くなりました。

新聞記者が下水に入り、巨大ワニに襲われる。ワニ視点で下から襲ってくるアングルは店長、ケリーのイタズラ、新聞記者と反復で3回使われており、しかもケリーのイタズラで一回外すなどとても良い使われ方をしています。ワニの襲い方は噛み付くぐらいしかないので、演出で工夫しているんですね。

大規模な作戦を立てるが失敗。映画のちょうど半分のところで巨大ワニは街中に現れ、状況は悪化しました。

自分のことしか考えない市長が現れ、さらにめんどくさそうな大佐も登場。大佐は初登場シーンだけでいけすかない嫌われキャラだと伝わってきますね。大佐が登場し、マディソンが現場から離れると少し物語が停滞してしまっていますね。その間にマリサとの関係が深くなるラブパートとなっていますが、やはり本題と離れると難しいです。

『大佐が死に、マリサとともに巨大ワニを倒しに向かう』これが第二ターニングポイントです。

第三幕

最後はアクションシーン。巨大ワニが暴れ回って社長や市長を殺し、マディソンとの一騎打ちとなります。恐怖に負けて昔の相棒やケリーを失ったマディソンが一人巨大ワニに立ち向かい、倒す。メタンガスやダイナマイトの伏線回収しつつ、内面的なストーリーと外的なストーリーが合わさったクライマックスとなり、映画が終わります。

ラストシーンは再び下水に捨てられるワニの子供。オープニングとの反復、人間の過ちは終わらないというメッセージも込められた定番ながらもお約束なシーンとなっていますね。

さいごに

90分と短い映画ですが、巨大ワニとの死闘、ワニが襲う反復シーンを利用した演出、社会を批判するテーマと質の高い脚本と映画でしたね。

次回はAmazonプライムビデオで配信中、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブタペスト・ホテル』を研究します!

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-fin-

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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