アクション

映画『ミッドナイト・ラン』の解説(ネタバレ有)これでもかと反復と伏線を使った名作アクションコメディ

akira
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ミッドナイト・ラン』です。

1988年公開のアクションコメディ映画。
監督マーティン・ブレスト、脚本ジョージ・ギャロ。126分。

第46回ゴールデングローブ賞のミュージカルコメディ部門にて作品賞、主演男優賞にノミネートされました。タイトルの意味は、『一晩で終わる簡単な仕事』、『ちょろい仕事』というスラングです。主演のロバート・デ・ニーロが来日した際のインタビューで、出演作で一番好きな作品に『ミッドナイト・ラン』と答えています。

スポンサー

映画『ミッドナイト・ラン』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Videoレンタル ※2
NETFLIX×
Hulu×
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。

この記事の情報は、2025年9月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXTか、サービスが充実していてコスパの良いPrime Video

どちらもトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

合わせて読みたい
『U-NEXT』の登録方法。31日間の無料トライアルを失敗しないで登録するために気をつけること
『U-NEXT』の登録方法。31日間の無料トライアルを失敗しないで登録するために気をつけること
合わせて読みたい
Amazonプライム会員特典とは?実はいろいろできるプライム会員特典を徹底解説
Amazonプライム会員特典とは?実はいろいろできるプライム会員特典を徹底解説

他にもオススメの動画配信(VOD)サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。

合わせて読みたい
動画配信(VOD)で映画を観るのにオススメなサービスを選ぶ基準別に紹介
動画配信(VOD)で映画を観るのにオススメなサービスを選ぶ基準別に紹介

映画『ミッドナイト・ラン』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

合わせて読みたい
『ヒーローズジャーニー』とは。物語の王道法則から読み解く映画研究
『ヒーローズジャーニー』とは。物語の王道法則から読み解く映画研究

日常世界

バウンティハンターとして生きているジャック。

冒険への誘い

保釈保証業者のエディから、デュークを捕まえてくるように依頼される。デュークは大物マフィアであるセラノの金を勝手に寄付し、横領の罪で逮捕されていた。

冒険の拒否

元警察官だったジャックは同僚に頼んでデュークの情報を得る。FBIからセラノを捕まえるためにデュークを追うなと忠告される。さらにセラノの手下からセラノを引き渡すように言われる。

賢者との出会い

デュークを捕まえるジャック。

戸口の通過

飛行機で帰ろうとするジャック。FBIもセラノもデュークを捕まえようとするが、デュークが飛行機を嫌がるため列車で移動を始める。

試練、仲間、敵

エディが連絡の取れないジャックを心配し、別のハンターであるマービンにもデュークの件を依頼する。マービンは二人を見つけるが、逃げるジャックたち。

最も危険な場所への接近/最大の試練

高速バスで移動するジャックたち。バスから降りたところでFBIとセラノの手下に囲まれ、銃撃戦となる。どさくさに紛れて逃げる二人。

報酬

逃げている最中、お喋りのデュークと会話するうちに絆が生まれてくる二人。ジャックはかつてセラノからの賄賂を断ったため、仕事を失い妻とも別れた過去を話す。

別れた妻の元へ金を借りに行くジャック。娘と再会し、車を貸してもらう。妻からもらった腕時計は壊れているが、まだはめている。

帰路

再びFBIに見つかり、追われるジャックたち。マービンがデュークを連れ去ってしまう。

復活

マービンはセラノにデュークを売ろうとしていると気づいたジャック。デュークが話していたマフィアの裏帳簿の情報を餌にしてセラノを捕まえる代わりにデュークを渡して欲しいとFBIに持ちかける。空港にて作戦を実行し、セラノを捕まえるFBI。デュークを捕まえるジャック。

宝を持っての帰還

引渡しの期限に間に合ったジャックはデュークを解放する。デュークは感謝し、逃走資金だった大金をジャックに渡し、去っていく。

映画『ミッドナイト・ラン』のテーマ

『自分の信念を貫く』これがテーマです。

ジャックはセラノからの賄賂を断ったために仕事も家庭も失いましたが、それでも彼は腐らず、自分の信念・正義感の元に今でも行動しています。最後にセラノを捕まえることができましたが、セラノが自分で空港に行かざるをえなかったのはジャックの正義感があったからこそです。

デュークも作中で何度もジャックを金の亡者といい、ジャックの正義感に訴えかけていますね。デュークもまた寄付したことを後悔していません。

二人とも自分の正義感のせいで苦労しましたが、最後は自由を手に入れることができました。

映画『ミッドナイト・ラン』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。アパートを訪れるジャック。ピッキングの技術を見せるとともに、偶然で助かる雰囲気でB級映画のトーンなんだと分かりますね。アクションを見せて一気に映画の世界に入れる手法です。さらにマービンが登場。マービンの車のドアをぶつける、ジャックが殴るという伏線が最初の出会いで二つも張られているのがすごいですね。刑事ではないということもしっかりと説明。タイトルと被る音楽がいいですね。

エディからデュークの件を頼まれるシーン。デュークの情報、依頼内容と賞金、ジャックは昔警察官だった、ジャックとセラノには因縁があると説明されます。エディの靴下からお金を出すところなんかもキャラクターが出てますね。

メインストーリーが始まると、FBIのモーズリとセラノの手下が登場。相関図が複雑化しますが、それぞれの目的と関係がしっかりと説明されているので分かりやすいです。それぞれサングラスと連絡先のマッチ。ここでも当然のように伏線が張られています。

あっさりと捕まるデューク。デュークを捕まえることは第一幕での目的であり、メインストーリーはデュークを期限までにエディの元に送ること。二人が初めて会話をする車内でのシーンでもよく喋りますね。この後も何度も二人の会話のシーンがあり、シーンを重ねるたびに二人の関係が強固になっていきます。ジャックがデュークを捕まえたという情報がそれぞれの方法でFBIにもセラノの元にも届きます。早くもクライマックスになりそうですが、当然映画なので物事はそう簡単には進まず、デュークの飛行機嫌いという伏線のせいで地上での長い旅が始まります。

『デュークを送る旅が始まる』これが第一ターニングポイントです。

第二幕

空振りに終わるモーズリとセラノ。作中に何度かあるモーズリの名前をいじる伏線回収も、短いセリフなんですがグッと完成度が上がりますね。モーズリとセラノの手下にも一人ずつ上司をいら立たせるお馬鹿キャラが作られており、彼らも各シーンでいい味を出しています。

三つ巴の状況からさらにマービンも加わり、より関係性が複雑になっていきます。マービンには格安の賞金を出すエディのキャラクターも素晴らしいです。単純なキャラクターですが、キャラクターを持たせることが重要であり、サブキャラはシンプルな設定で十分です。

食堂車でのジャックとデュークのシーン。愛について語る二人。ジャックは妻にも警察の仲間にも見放されており、本人は否定していますが愛が足りないことを示しています。ジャックの内面的な障害であり、バディものの王道なテーマでもあります。このシーンで時計の伏線が張られることも重要です。

ジャックがバスのチケットを買うシーン。最高ですね。モーズリとマービンのやりとりもなくてもいいのですが、コメディとして必要ですし、何より楽しいですね。

元妻の家を訪れるジャックのシーン。穏やかに始まり、中盤で喧嘩になり、最後は娘との静かな再会。ワンシーンの中で素晴らしい構成になっており、感動的ですね。ジャックと元妻も、二人とも悪い人ではなく愛はあったが、結婚はうまくいかなかった、ということが滲みでています。

皮肉を言ってしまうジャック、娘が出てくると反省しすぐに帰ろうとするジャック、少ないお金を渡す元妻、全財産を出す娘、受け取らないジャック。全てがキャラクターを出しています。

車内のシーン。ジャックが警察時代のことをデュークに話す形で観客にも説明されます。一つ謎が解決されますが、今度は時計の謎が新たに作られます。

飛行機の伏線回収、偽札の捜査というコメディ、焚き火のシーンで腕時計は元妻が買ってくれたと説明し、

『デュークがマービンに捕まる』。これが第二ターニングポイントです。

偽札捜査のシーンは即興演技だったようです。面白いですね。

第三幕

疲れ切ったジャックがダイナーを訪れる。擬似的なラストシーンで、おそらくジャックがやりたいようなダイナーですね。しかしモーズリが現れることで物語はまだ終わりません。

ジャックがセラノの情報を使った作戦を立て、それぞれの陣営の思惑が一つにまとまっていき、クライマックスに入っていきます。

FBI、セラノ、マービンが絡み合った空港でのクライマックス。セラノはFBIに捕まり、あとは最初の目的であったデュークを送り届けるだけになります。

ラストシーン。ジャックは金を諦め、デュークを解放します。腕時計をあげるジャック。バウンティハンターの仕事、元妻への未練を忘れ、生まれ変わることを表していますね。

そういうことをすると、最後にいいことが起きるのが物語。思わぬ大金を得たジャック。デュークは去っていきますが、二人はおそらく来世で出会うことでしょう。

さいごに

シンプルなストーリーながら三つ巴の陣営、バディのドラマ、ロードムービー。王道ですが伏線をこれでもかと使うことでとても面白い物語になりました。

次回はサム・ライミ監督の『シンプル・プラン』を研究します!

映画を家で楽しみたい人は、ぜひコチラの記事も読んでみてください。
家映画がもっと楽しくなるアイテムと工夫を紹介しています。

合わせて読みたい
映画を家で見る!!家映画を楽しくするアイテムと工夫を紹介
映画を家で見る!!家映画を楽しくするアイテムと工夫を紹介

-fin-

スポンサー
ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
記事URLをコピーしました