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映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の解説(ネタバレ有)傑作の続編だが…面白くない。それはなぜか?

akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』です。

1997年公開のSFスリラー映画。監督スティーブン・スピルバーグ、脚本デヴィッド・コープ。129分。

監督と脚本は前作と同じで、前作と同じくマイケル・クライトン原作の物語ですが、原作とはかなりかけ離れたストーリーになっています。これはクライトンから『映画を自由に作っていい』と言われたからのようですが、原作ファンからは強い批判があったようです。

アカデミー賞視覚効果賞にノミネートはしたものの、ゴールデンラズベリー賞では『最低続編賞』、『最低脚本賞』、『最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品』賞にノミネートしてしまいました。

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映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Video定額 ※1
NETFLIX定額 ※1
Hulu定額 ※1
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。

この記事の情報は、2024年4月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

ジュラシック・パークでの出来事を世間に発表したものの、信じられずにバカにされてしまったマルコム。大学からも追い出されてしまった。

冒険への誘い/冒険の拒否

ハモンドからジュラシック・パークの飼育島の調査隊に指名されるマルコム。断るものの、恋人のサラはすでに島に行ってしまったと知り、サラを救助するために島へ向かうと決める。

賢者との出会い

他の救助隊メンバーであるエディ、ニックとともに島についたマルコム。恐竜は島で生態系を作り上げていた。サラを見つけるマルコム。娘のケリーはトラックに忍び込んで島についてきてしまっていた。

戸口の通過

マルコムはケリーを連れて島から脱出しようと本土にいる船に連絡しようとするも、なかなか繋がらない。と、ハモンドの甥で現社長のルドローがハンターたちを引き連れて島に入り、恐竜狩りを始める。彼らは再び恐竜で儲けようとしており、ハンターたちのリーダーであるローランドはティラノが標的だ。

試練、仲間、敵

ティラノの子供を囮にして捕まえようとするローランドの計画を阻止し、恐竜を解放するサラたち。しかしティラノに襲われてトラックや無線を失ってしまう。ローランドがサラたちを見つけ、協力して島の中央にある通信タワーへ向かうことにする。だが、そこは凶暴な恐竜ラプトルの巣だ。

最も危険な場所への接近

ティラノやラプトルなどの恐竜に襲われるハンターたち。次々と殺されていく。

最大の試練

ニックが通信タワーに着き、救助を求める。マルコムたちが、ラプトルの群れに狙われ襲われる。

報酬

なんとか逃げ出し、ヘリに救助してもらうマルコムたち。

帰路

ローランドがティラノを麻酔銃で眠らせ、ルドローがティラノの親子を手にいれる。

本土に輸送するルドローだが、ティラノは輸送の途中で脱走し、本土に上陸。市中で暴れ始めるティラノ。

復活

マルコムはティラノの子供を利用してティラノを船に誘導し、島へと送り返すことに成功する。

宝を持っての帰還

家で眠るマルコム、サラ、ケリー。ハモンドは島から人間を隔離して恐竜の保護をするように訴える。

映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のテーマ

前回と同じくテーマは

自然を甘くみるな

です。

今回もルドローを使って愚かな人間を描いていますが、いかんせん前作と同じテーマなので少し弱いですね。

悪役ルドローの目的はティラノを捕まえることですが、主人公のマルコムの行動はそれに対立する構造になっておらず、基本的に逃げて島から脱出しようとするだけ。悪役と主人公の目的が対立していないために面白さが生まれていません。

また、マルコムの娘ケリーや恋人のサラが出てきますが、二人ともマルコムとはそれなりに仲が良いためにこの二人とも対立することはなく、マルコムの内面的なストーリーがありません。

主人公マルコムの成長はなく、ストーリーも場当たり的な展開。葛藤やドラマが生まれないために感動や面白みを感じない、ということですね。

映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パークをさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
荒れた海。不穏な雰囲気漂う海上から島へ。浜辺で食事の準備をしている家族とクルーたち。少女が一人で歩いていると小さな恐竜を見つけ、その恐竜の群れに襲われてしまう。

気候や荒れた海で不吉な予感を感じさせる始まり方です。恐竜が独自に島で生息しているという説明、いきなり恐竜が出てきて襲うというショッキングなオープニングで観客を引きつけようとしていますが、このシーン自体は本編に関わるシーンでもないため、すでに弱い始まり方と言えます。前作ではラプトルだったため最大の悪役の伏線、という意味もありましたが、小さな恐竜も特に重要ではないですからね。

地下鉄に乗り込むマルコム。周囲の反応と会話でマルコムの現状が説明されます。ハモンドの家で前作のティムたちが登場しますが、これも本編に関わることはなくとりあえず出した、という感じですね。だったら前作の主人公であるアランについてもどこかのシーンで触れて欲しいところです。悪役であるピーターはいかにも嫌なやつのキャラクターです。

ハモンドのシーンで飼育島のことが説明されますが、前作では全くその説明はなく、パークで孵化させて飼育島に移して育ててまたパークに戻している、という非効率的なことになりますね。いかにも後付けのような設定です。室内での長い二人の会話のシーン。一応会話で展開を作っていますが、つまらないですね。

島に上陸し、あっさりとサラを見つけるマルコムたち。ここら辺ももっと何かできなかったのかな〜と思いますね。もう少しサラと出会うのを後にして、もっと危機的な状況で再会する方が面白かったのではと思います。前作は恐竜が現代で復活する危険性がテーマにありましたが、サラにはその疑問はなく、恐竜の復活に興奮しています。その点でも少し引っかかってしまいますね。復活させてしまったなら、と開き直ってるということなんでしょうか。幸運のリュックもこの後いろいろなシーンで助けてくれますが、だからなんだといった感じです。子供を守るために怒る親の恐竜。恐竜親子の行動という伏線になっています。

『ピーターたちがハンターを連れて島にやってくる』これが第一ターニングポイントです。

このピーターたちも後からやってきた方がいいのか、すでに島にいた方がいいのか、どちらが面白いか考えてもいいですね。ピーターたちに見つかって捕まってしまうという第一ターニングポイントも面白いかと思いました。

第二幕

次々と恐竜を捕まえるハンターたち。前作にはなかった人間と恐竜の対決は新しいアイディアで面白いですね。ティラノの子どもを囮にするローランド、観客に嫌われる行動をする悪役です。

数シーン悪役であるハンターたちのシーンが続きますが、主人公はマルコムであり、マルコムがハンターたちの行動を見てどう思ったのか、これから何をするのかというシーンをまずは入れてもいいのではと思います。恐竜を脱走させるのも行動するのはサラとニックで、マルコムは何をしているのかわかりません。

高所に上がる見張り台も登場しますが、特に有効に使われていません。マルコムたちがティラノに襲われている間に別の恐竜に襲われる、もしくは片方のティラノが襲ってくるなどしても面白かったかもですね。一方、トラックと崖は有効に活用しています。夜の土砂降りなども、前作からある伝統芸ですね。

マルコムたちがティラノに襲われるシーンでは前作と同様、車内からの視点を多用してシーンを作っています。一度安心させてから、ティラノが襲ってくる。緊張感の緩急を使った王道の驚かせ方です。

映画のちょうど真ん中のあたりで、マルコムとローランドたちが合流。新たな目的地の通信タワーが設定されます。

ローランドの部下が小さな恐竜の群れに襲われる展開も結構時間を使って描いていますが、果たしてそこまでして描く必要があるのか疑問です。

夜のシーン。ティラノが近づいてくる時の水たまりの振動や、テントに映る影の演出は前作と同じく焦らしの演出ですね。

草むらで次々とラプトルに襲われるハンターたち。マルコムたちも草むらに着きますが、走って通り抜けるだけ。もう少し何か工夫が欲しいところです。

『マルコムたちは島を脱出するが、ピーターがティラノを捕まえたところを目撃する』、これが第二ターニングポイントです。

第三幕

三幕ではティラノが本土に上陸し、マルコムたちが解決する展開です。

乗客が死んだ船が突っ込んできますが、ティラノは貨物室に閉じ込められているのにどうやって操縦室や甲板の乗務員を食い殺したのか、いささか謎ですね。

ついに現代の都市の中で暴れるティラノ、観たかったシーンでもあります。

ラストシーン。家の中で寝ているマルコムとサラ。マルコムたちは平穏を取り戻しましたが、ドラマや関係性が逆転しているわけではないのでやっぱり弱いですね。

さいごに

展開、ドラマ、キャラクター……ディテールに至るまで物足りない続編となってしまいました。

次回もさらに続編となり、スピルバーグからバトンタッチしたジョー・ジョンストン監督作『ジュラシックパーク3』を研究します!

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-fin-

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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