映画『ブレーキ・ダウン』の解説(ネタバレ有)シンプルな物語だが丁寧な小技が光る良作映画
こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。
今回の深掘り映画はU-NEXTで配信中の『ブレーキ・ダウン』です。
1997年公開のスリラー映画。
監督ジョナサン・モストウ、脚本ジョナサン・モストウ、サム・モンゴメリー。93分。
監督のジョナサンは『U-571』や『ターミネーター3』などの作品を作っています。
主演をカート・ラッセルが務め、90年代の『激突!』と評価されている映画のようですね。B級映画かもしれませんが、間違いのない面白さを持った作品です。
映画『ブレーキ・ダウン』が観られる配信サービス
この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。
配信状況
サービス | 配信状況 | 配信種別 |
---|---|---|
U-NEXT | ◯ | 定額 ※1 |
Prime Video | ◯ | レンタル ※2 |
NETFLIX | × | ー |
Hulu | × | ー |
Disney+ | × | ー |
TSUTAYA DISCAS ※3 | ◯ | 定額 ※1 |
※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。
この記事の情報は、2024年1月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。
個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT。
U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。
他にもオススメの動画配信(VOD)サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。
映画『ブレーキ・ダウン』のヒーローズジャーニー
それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。
ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!
日常世界
引っ越しのために荒野を走るジェフリーとエミー夫婦。貯金はなく、転職するようだ。お菓子の懸賞金9万ドルが手に入ったらと夢見るエミー。
冒険への誘い/賢者との出会い/冒険の拒否
車が故障し、動かなくなってしまう。この引っ越しはそもそも間違いだったと感じるエミー。偶然通りかかったトラック運転手のレッドが次のレストランまで連れていくと提案するが、断るジェフリー。エミーはレッドに乗せていってもらう。
戸口の通過
車の故障を直したジェフリー。エミーの待つレストランに向かうが、店主や客はエミーを見ていないと話す。
試練、仲間、敵
レッドのトラックを見つけレッドを問い詰めるジェフリーだが、レッドは知らないと話す。保安官にも事情を話すがレッドのトラックに異常はない。解放されるレッド。ジェフリーは行方不明の届を出し、レストランに戻る。駐車場にいたビリーからエミーは男たちとトラックに乗っていったと聞き、車を走らせるジェフリー。
最も危険な場所への接近
男に命を狙われるジェフリー。ビリーに気絶させられる。
最大の試練
黒幕はレッドだった。エミーは9万ドルの貯金があると嘘をつき、生きているらしい。その嘘に気づき、間一髪合わせたジェフリーも生かされる。レッドはジェフリーに銀行に行き、9万ドルを用意するように脅す。
報酬
一ドル札の束でカモフラージュするジェフリー。迎えに来た男に反撃・捕まえ、エミーの居場所を聞き出す。男はレッドはトラックの休憩所にいると話す。
帰路
トラックの休憩所でレッドを見つけ、彼のトラックに飛び乗るジェフリー。レッドの家につき、捕えられたエミーを見つける。
復活
レッドら仲間と家族に銃を向け、エミーを解放させるジェフリー。トラックに乗って逃げるが、レッドたちが追いかけてくる。
宝を持っての帰還
レッドたちを倒し、助かったジェフリーとエミー。
映画『ブレーキ・ダウン』のテーマ
アメリカの広大で何もない荒野は、見方を変えると誰もいない孤独な世界。
そんな荒野で出会ったレッドは一見するとどこにでもいるトラック運転手で、結婚して子供もいる。そんな人が実は凶悪犯だったというアイディアがテーマを表しており、
『 危険はどこにでもある 』
これがテーマです。
荒野はレッドの嘘一つで警官にすら信用されなくなるような危険な場所だったのですね。
映画『ブレーい・ダウン』をさらに詳しく
ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。
第一幕
オープニング。
何かが起きそうな意味深な音楽と荒野の地図。ジャンルを教えてくれる音楽で期待させ、重要なモチーフである荒野を見せています。観客をゆっくりと映画の世界に入れるタイプの始まり方ですね。
走るジェフリーとエミーの車。いきなり事故になりそうになり、一発アクションをかましてくると同時に悪役に目をつけられるきっかけにもなっています。
続いてガソリンスタンドのシーン。直前の事故の車の運転手が因縁つけてくるので観客にもキャラの顔を覚えさせ、この後もこのキャラが何かをしてきそうな予感をさせます。悪役のリーダー・レッドじゃないところがミスリードになっていますね。
ガソリンスタンドで買ったドーナツという小道具。ドーナツを使ってジェフリーたちの金銭状況の説明、エミーとドーナツの関係、嘘の伏線になっているなど素晴らしい小道具の使い方ですね。こういうところに脚本家の巧さが表れます。
車が故障し、さっきの事故しかけたトラックが登場。この車の男が何かをするのかと思いきや、人の良さそうなレッドが登場。レッドの顔を印象付けるわけでもなくさらっと登場させるのは監督の巧さです。
レストランでエミーを探すジェフリーのシーン。そっけない店主やジェフリーをいじる客など、荒野は人間関係的にも外部が嫌いな孤独の場所なんですね。店から出てきたジェフリーを上から見下ろす。孤独・困り果てる様子を際立たせる演出です。
『エミーがいなくなる』。これが第一ターニングポイントです。
第二幕
レッドのトラックを見つけるが、レッドは何も知らないと話し、保安官にも確認させる。普通に考えればレッドが悪役なのは予想できますが、このシーンを丁寧に、保安官も登場させ説得力を持たせることで『レッドじゃないのか?』と考え、観客はより『何が起きているんだ?』と思いますよね。実際はなんの変哲もないレッドの嘘なんですが、理詰めで丁寧に描くことを序盤に見せることが大事です。
警察署では行方不明の張り紙が壁一面に貼られている。ジェフリーをさらに精神的に追い詰めると同時に、アメリカのリアルを見せています。警察もエミーが逃げたのではないかと疑い、FBIは事件の証拠がなければ動かないとジェフリーの味方にならないことを見せています。
再びレストランに戻り、店主を疑い強引な行動をとってしまうジェフリー。いよいよ自分がおかしくなっていくのか…?というところでビリーが登場し、ジェフリーが正しかったと観客に認識させます。
しかしそれはレッドたちの罠であり、再びトラックの男に命を狙われ、ビリーも悪役だと判明。映画のおよそ半分のところでレッドが本性を表し、彼らの犯行だと説明。ミステリーでスリラーな展開からサスペンスの展開へとシフトしていきます。川を流れるドーナツ、エミーとはもう会えないのか…と思わせるディテールが素晴らしいですね。
レッドたちはマフィアのような大きな組織ではありませんが、保安官の行動を把握したりと、細かいところを見せて手強い悪役だと思わせます。
銀行で金を下ろすシーン。疑心暗鬼になっているジェフリー。誰が敵かわからない状況を利用して、アクションがないシーンでも緊張感のあるシーンになっていますね。
札束のトリックもレッドならすぐにバレそうですが、迎えにきた男はガサツなキャラなので気付くのが遅れても不自然ではないですね。
『エミーのいる場所を聞き出す』。これが第二ターニングポイントです。
第三幕
走るレッドのトラックでのアクションシーン。トラックがあるならこういうアクションが欲しいよねっていうお約束のシーンです。一応銃を無くしていますが、本当にそれだけのシーンです。
妻や子供がいるレッド。仲が良さそうなところがまたいやらしいキャラ作りですね。
子供を使ったサスペンスシーンも作り、最後は怒涛のアクションへ。
ラストシーン。エミーの場所を聞き出すために拷問するジェフリーもなかなかでしたが、一番怒らせてはいけないのはエミーでした。
さいごに
シンプルな話なので短いブログになりましたが、逆に言えば映画のなかでややこしいことが少ない、無駄を削ぎ落としたシンプルで力強いストーリーになっているということです。こういうのがいいんだよ、と言いたくなる面白い映画でしたね。
次回はビル・マーレイ主演の『ゴースト・バスターズ』を研究します!
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