映画『ゴースト・バスターズ2』の解説(ネタバレ有)傑作コメディの続編!映像技術は進歩している……が?
こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。
今回の深掘り映画は『ゴースト・バスターズ2』です。
1989年公開のSFホラーコメディ映画。
監督アイヴァン・ライトマン、脚本ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミス。108分。
監督、脚本家、キャストもそのまま続投となった本作。興行的には成功したものの、全体的な評価は前作よりも低くなっているようです。
映画『ゴースト・バスターズ2』が観られる配信サービス
この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。
配信状況
サービス | 配信状況 | 配信種別 |
---|---|---|
U-NEXT | ◯ | 定額 ※1 |
Prime Video | ◯ | レンタル ※2 |
NETFLIX | × | ー |
Hulu | × | ー |
Disney+ | × | ー |
TSUTAYA DISCAS ※3 | ◯ | 定額 ※1 |
※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。
この記事の情報は、2024年1月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。
個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT。
U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。
他にもオススメの動画配信(VOD)サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。
映画『ゴースト・バスターズ2』のヒーローズジャーニー
それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。
ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!
日常世界
前作から5年後のNY。
第1作目の事件でNYから訴えられ世間から信用を失い、仕事がなくなってしまったゴーストバスターズ。ディナとピーターも別れてしまった。
冒険への誘い/冒険の拒否
ディナの子供・オスカーが超常現象に巻き込まれる。スペングラーに相談するディナ。ピーターにはこのことを秘密にするように頼む。
賢者との出会い
結局ピーターにもバレてしまい、3人は調査を開始する。地下にはスライムの川が出来上がっていたが、騒動を起こしてしまい3人は逮捕されてしまう。
戸口の通過
ピーターたちの裁判中にゴーストが出現。3人は無罪となりゴーストバスターズが再始動する。
試練、仲間、敵
ディナの働く美術館にビーゴの絵が持ち込まれる。かつて残虐の限りを尽くした恐ろしい男の肖像画であり、ビーゴの魂が宿っている。ビーゴは復活のために幼児を求めている。
家でスライムに襲われたディナはピーターの家に住むことになり、ディナとピーターは再び惹かれ合う。
最も危険な場所への接近
スライムは感情に反応する性質を持っており、善にも悪にも反応する。
最大の試練
地下のスライムの川を再び調べるレイたち。ゴーストたちに襲われ、スライムの川に流される。
報酬
なんとか地下から脱出するレイたち。スライムの川は美術館に繋がっていた。
帰路
市長にスライムの危険性を訴えるピーターたちだが、市長は相手にしない。市長補佐がピーターたちを精神病棟に監禁してしまう。オスカーがゴーストに連れて行かれてしまう。スライムがNYに溢れ出し、大量のゴーストが出現。街がパニックになる。
復活
市長がゴーストバスターズに助けを求める。ピーターたちは自由の女神をスライムとNY市民の善の力で動かし、美術館に突撃。ビーゴを倒す。
宝を持っての帰還
ディナとキスをするピーター。ゴーストバスターズは大歓声に出迎えられる。
映画『ゴースト・バスターズ2』のテーマ
しいてあげるとすれば、クライマックスに自由の女神を動かした善の力、『人々が力を合わせれば困難に打ち勝つことができる』というテーマになりますが、前作に比べればとても弱いですね。
映画は主人公の変化を描く物語ですが、本作では主人公のピーターに何も変化がないことが大きな問題点になっています。
映画『ゴースト・バスターズ2』をさらに詳しく
ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。
第一幕
オープニング。
スライムと苛立っているNY市民。オスカーを連れて歩くディナ、オスカーが謎の力に連れてかれそうになる。
オスカーがいる、管理人に話すことでディナはオスカーと二人暮らしと説明。オスカーを追いかけるアクションで観客を引き込ませようとしています。スライムの影響がすでに起きているという伏線も張られていますね。
続いてゴーストバスターズの現状をパーティーというひねりで説明。子供にも馬鹿にされるアイディアはわかりやすいですね。
ディナがスペングラーにオープニングの出来事を説明することでストーリーが始まります。
スペングラーも感情の持つエネルギーを研究しているので、やはりこの映画のテーマは『感情の持つ力』に設定されていますね。
ゴーストバスターズで稼げなくなったピーターたち、子育て中のディナがそれぞれ何をしているのか、スペングラー、ピーター、ディナ、レイの順番でワンシーンごとに説明されています。ピーターの番組のシーンではストーリーは進まないので、ユーモア、市長との今の関係、新たな厄介者の市長補佐を登場させています。
例の書店でピーターがディナのことを聞くシーンにある最後のセリフ『俺のディナ?』は、一言でピーターのキャラクターと気持ちがわかるとてもいいセリフですね。最後においてあることで切れ味も素晴らしいです。
ピーターたちがスライムの存在に近づいていくと同時に、悪役のビーゴも動き始めるようにシーンが構成されていますね。ビーゴが赤ちゃんを求めていることで、観客は自然とオスカーが狙われると気づき、今後の展開を期待します。
『ゴーストバスターズが復活する』。これが第一ターニングポイントです。
第二幕
前作からあるお得意の仕事シーンのモンタージュ。
定番のCMを使ったり、看板や車が新しくなるアイディアもわかりやすくていいですね。同時にスライムを集めるシーンもありますが、同じことをしているシーンの繰り返しなのであまりいいモンタージュではありません。
レイたちがピーターに説明する形で、スライムの特徴を観客にも説明しています。
『オスカーがゴーストに連れ去られ、街にスライムが溢れ出し大量のゴーストが現れる』
これが第二ターニングポイントです。
前作では乗っ取られたディナとルイスを会わせてはならないことでしたが、今回はビーゴと赤ちゃんを会わせてはならない。というどちらも大事なキャラクターが鍵となったストーリーとなっています。こういう障害は失敗して最悪の結果になるのが映画というものですが、前回は悪の大王が復活しましたが今回は連れされても特に何も起きませんし、ビーゴは勝手に絵から出てきました。赤ちゃんにビーゴが乗り移って攻撃してくる、というくらいのことをして欲しかったですね。
また前作はビルの設計者が意図的に霊的エネルギーを集めるビルを作って騒動となりましたが、今回はビーゴの意図なのか、なぜNYなのか、スライムのせいでビーゴが来たのか、そもそもスライムはどこから来たのかがよくわかりません。前提や背景が作り込まれていないので全体的に行き当たりばったりのストーリーというイメージになってしまっています。
第三幕
最後の舞台となるのは美術館。
前回はビルの屋上なのでクライマックス感がありましたが、美術館という舞台も弱く感じます。
そして唐突な自由の女神の登場。まずはゴーストバスターズが善の力を求めて失敗してから自由の女神が登場、の方が対比があってわかりやすくてよかったと思います。最後のクレジットシーンで自由の女神の前で式典をしている様子が映りますが、おそらく伏線としてオープニングに使うつもりだったのではないでしょうか。
ルイスもゴーストバスターズとして駆けつけますが、このアイディアも特に意味はありません。一見すると意味のない行動が間接的に大活躍していた、という映画あるあるではありますが工夫が必要ですね。同じくピーターがビーゴを煽る行為も特に意味がありませんでした。
クライマックス。レイが乗っ取られますが、特に苦労することもなくあっさり退治。ビーゴも前回同様にあっさりと倒され、映画が終わります。
さいごに
全体的には一作目と同じ展開、ストーリーとなっていますが、それぞれがスケールダウンとなっていて盛り上がりにかける作品となってしまいました。
次回はいつもと違って映画ではなくドラマを。Amazonプライムビデオで配信中、『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』のエピソード5、黒沢清監督の単発ドラマ『彼を信じていた十三日間』を研究します!
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