映画『シックス・センス』の解説(ネタバレ有)ホラーありドラマありの極上エンタメ映画

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。
今回の深掘り映画は『シックス・センス』です。

1999年公開のホラーミステリー映画。監督・脚本M・ナイト・シャマラン。107分。
アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、助演男優賞、助演女優賞にノミネート。
公開当時、冒頭にブルース・ウィリスが『この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないでください」という前置きが流れることでも話題になりました。この映画でシャマランは一流監督の評価を得ました。
映画『シックス・センス』が観られる配信サービス
この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。
配信状況
サービス | 配信状況 | 配信種別 |
---|---|---|
U-NEXT | ◯ | 定額 ※1 |
Prime Video | ◯ | 定額 ※1 |
NETFLIX | × | ー |
Hulu | × | ー |
Disney+ | × | ー |
TSUTAYA DISCAS ※3 | ◯ | 定額 ※1 |
※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。
この記事の情報は、2025年6月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。
個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXTか、サービスが充実していてコスパの良いPrime Video。
どちらもトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。


他にもオススメの動画配信(VOD)サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。

映画『シックス・センス』のヒーローズジャーニー
それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

日常世界
市から表彰された児童心理学者のマルコム。妻・アンナと祝っていると、かつての患者・ヴィンセントが家に侵入し、マルコムを撃ち、自殺する。
冒険への誘い/賢者との出会い
一年後。ヴィンセントと似た境遇の少年・コールの治療を始めるマルコム。母・リンはコールを愛しているが、コールの異常な行動に戸惑っている。
冒険の拒否
マルコムはヴィンセントのことで医師としての自信を失い、またコールはマルコムには自分を救えないと話す。あれからマルコムとアンナは会話がなくなってしまった。
戸口の通過
2人のゴールを決めるマルコム。コールは怖いことが嫌なのだ。
試練、仲間、敵
学校で担任と騒動を起こしてしまうコール。
最も危険な場所への接近/最大の試練
ホームパーティで、友人の悪戯でパニックになってしまうコール。リンは医師に虐待を疑われてしまう。
報酬
コールに幽霊が見えると告白されるマルコム。コールの周囲の超常現象は幽霊によるものだった。信じらんないマルコムはコールを重い精神病だと思い、自分には救えないと感じる。
帰路
リンと喧嘩してしまうコール。アンナが同僚の男と浮気していると思い、コールに治療ができないと話すマルコム。
復活
ヴィンセントとの記録を調べ直すマルコム。ヴィンセントも幽霊が見えていたと気づく。死者の声を聞けと助言するマルコム。コールは死者の話を聞き、死者の思いを成し遂げる。
宝を持っての帰還
幽霊の存在を受け入れたコール、リンに秘密を告白し、愛を確かめ合う2人。
マルコムは自分がヴィンセントに殺されていたと気づき、驚愕するが、死を受け入れる。アンナに愛を伝え、天国へ旅立つマルコム。
映画『シックス・センス』のテーマ
『他人との繋がりが大事』これがテーマです。
それは、『生きている人』に対しても『死者』に対しても、です。
マルコムは生前、仕事で成功していましたが、妻・アンナは愛しているものの仕事ばかりのマルコムに少し不満。コールとリンも、お互いに愛し合っているものの現在進行形で親子関係がギクシャクしています。
コールが外的のゴールである死者とのつながりを持つことで自身のトラウマを解決するのと同時に、内面的なゴールであるリンとの関係も解決します。
同様にマルコムもコールの問題を解決するとともに、アンナと自分を救っていますね。
映画『シックス・センス』をさらに詳しく
ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。
第一幕
オープニング。不穏な音楽とテロップ。ゆっくりじっくりとおどろおどろしく映画の世界に誘っていきます。最初のシーンは地下室から。地下室に降りてくるアンナ。
のちに判明しますがこの地下室はマルコムの部屋であり、あの世とこの世がとても近い場所でもあるんですね。伏線でもあり幽霊の予感を感じさせるオープニングです。そして寒そうなアンナ。幽霊が出てくるシーンはどこも寒いのがこの映画のルールです。
続けてアンナがマルコムを賞賛しますが、同時に私生活の不満も見えてきます。矛盾した心境を持ったアンナです。さらに続いてヴィンセントが登場。マルコムの銃撃やヴィンセントのセリフなど、このオープニングシークエンスは映画全体の最も重要な伏線になっています。このシーン以降、マルコムはコール以外と喋るシーンはありませんが、このオープニングがあるから気づかないし気にならないんですね。すごいです。
コールとマルコムが最初に会う場所は教会。教会も生と死が近い場所のイメージがありますね。父の不在、ラテン語、自傷の跡、マリア像を盗む。色々な要素が詰まったシーンです。
子供のいないマルコムと父親のいないコール。擬似的な親子関係に設定してこれから二人のドラマを作っていくことが見えてきます。
リンの登場する朝のシーン。ワンカットで撮っているからこそ扉が開いていることに驚きと恐怖が生まれています。リンとコールの微妙な関係も短いシーンで見えてきますね。
これで主要な登場人物は全て説明終了。マルコムとコールのドラマを中心に、サブストーリー・内面的な問題としてマルコムとアンナ・リンとコール。それぞれの関係でそれぞれのドラマが始まります。
マルコムがコールの心を読むゲーム。二人の心の距離感を視覚的にも表ています。二人は近づきそうで、また遠のいてしまう。そう簡単にうまくいったら面白くないですからね。まだまだ焦らします。
『コールの不満である嫌な思い・恐怖をなくすと決める』これが第一ターニングポイントです。
第二幕
アンナがうつ病の薬を飲んでいるシーン。正直夫が殺され、異常者が自殺した浴室でシャワーを浴びているのはすごいなと思うのですが、家を変える理由は面倒ですし、こういう指摘は野暮ってものですかね。
ホームパーティーのシーン。赤い風船とコールの着ている赤いセーター。ホラーでは赤は非常に印象的に見えますし、そういう予感をさせますね。案の定、コールは辛い目にあってしまいます。
病室のシーンでマルコムは自分のことを話すことで二人の距離が近づき、コールも自分の秘密を告白します。いわゆる『焚き火のシーン』ですね。このシーンの後から幽霊が画面に実際に映るようになります。
コールの学校での演劇シーン。ここでは親たちがいっせいにビデオカメラを構えるユーモアがありますが、ビデオはとても重要なモチーフとなっています。映画の中ではマルコムとアンナの結婚式、クライマックスでは少女が母親に毒を飲まされる証拠として使われています。公開当時、映画も映画館だけで観るものではなく、ビデオとなって家で何度も繰り返し見るようになっていました。この映画はそれを利用して、『本当にマルコムは幽霊だったのか?』『矛盾したシーンはないのか?』と検証したくなるようなアイディアになっていますね。
アンナが宝石店で接客しているシーンに登場する客のカップルは、お互いに心がズレています。モブのようなキャラクターでも、この映画のテーマである『人との繋がり』をちゃんと表しているんですね。
『マルコムが幽霊の助けの声を聞けとアドバイスする』これが第二ターニングポイントです。
第三幕
第三幕は解決のシーン。コールはマルコムのアドバイスに従い、少女の幽霊と話してみます。その結果、少女の希望は達成され、コールの幽霊に対する見方が変わりました。ちなみに、少女の母親は赤い服を着ています。
コールは生活が改善され、学校の演劇でも主役になりました。反復を使って変化をわかりやすく見せていますね。コールの外的な問題が解決したため、二人は別れる。今度はそれぞれの内面的なストーリーのクライマックスへとつながっていきます。
まずはコールとリン。お互いに信頼を取り戻すことで親子の絆が復活。続けてマルコムとアンナのシーン。どんでん返しであるマルコムが実は幽霊だったと判明。これまでの伏線を回収。しかしマルコムは事実を受け入れ、ヴィンセントの件で後悔をコールで解決。アンナに愛を伝え、天国へと旅立っていきました。実はマルコム自身もアンナと話したいと助けを求めていましたが、コールはそれも解決してくれていたんですね。最後の結婚式でのビデオがまた良いですね。
さいごに
ホラーのジャンルでありショッキングなシーンもありますが、人と人との繋がりや愛を描いたテーマが感動を生み、最後のどんでん返し。素晴らしいエンタメ映画でした。
次回はU-NEXTで配信中、『ブレックファスト・クラブ』を研究します。
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