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映画『ヒックとドラゴン』の解説(ネタバレ有)誰しも欠点がある。それを補い合って1つになった時、世界に秩序が取り戻される。

ヒックとドラゴン
akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ヒックとドラゴン』です。

2010年公開の3Dアニメ映画。
監督はディーン・デュボア、クリス・サンダース。脚本は2人に加えウィル・デイヴィス。

アカデミー賞長編アニメ映画賞、作曲賞にノミネートされました。

ディーンは「画面に引き込まれるような3Dにするように心がけた」とインタビューで語り、宮崎駿作品のファンのようで飛行関連のシーンは『紅の豚』『魔女の宅急便』の影響を受けているそうです。

3Dのみならずシナリオもとてもよく出来ており、まさに引き込まれる物語です。

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映画『ヒックとドラゴン』のヒーローズジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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※この記事の情報は、2023年1月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

日常世界/賢者との出会い

少年・ヒックの住むバーク島は、常に襲撃してくるドラゴンに悩まされていた。ドラゴンと戦うバイキングに憧れているヒックだが、貧弱な身体のため、父でバイキングの長・ストイックからも認めれていなかった。

鍛冶屋のゲップはヒックなりのやり方があると言うが、ヒックは納得できない。

冒険への誘い/冒険の拒否

しかしヒックは自らの発明品で伝説のドラゴン・ナイトフューリーを捕まえる。だが、殺す事ができず、ナイトフューリーを逃すヒック。

戸口の通過

ストイックの指示で、ヒックはドラゴンを倒す訓練を始める。ドラゴンは常に命を狙うと教えるゲップ。

試練、仲間、敵

しかしナイトフューリーはヒックを殺さなかった。

ヒックはナイトフューリーと再会し、打ち解けあう。

知られていなかったドラゴンの特徴をどんどん見つけていくヒック。

最も危険な場所への接近

怪我をして飛べないナイトフューリー。ヒックはトゥースと名付け、2人で飛べるようになる装置を開発する。

ストイックらバイキングはドラゴンを撲滅するために巣に向かっていたが、見つかることもなくボロボロとなって帰ってくる。

最大の試練

飛行訓練をするヒックとトゥース。トラブルに見舞われるが、見事に乗りこなすようになるヒック。

報酬

そして他のドラゴンも悪意のある生きものではないとわかるヒック。

アスティに見つかってしまうヒックとトゥースだが、アスティもトゥースは悪者ではないと認める。

ヒックとアスティを乗せたまま、トゥースはドラゴンの巣へと導かれる。

そこにはドラゴンの主がおり、他のドラゴンは恐怖で従っていると知るヒックとアスティ。

帰路

ドラゴン最終訓練。ドラゴンは敵ではないと示そうとするヒックだが、失敗。ヒックを助けに来たトゥースは捕まり、ヒックはドラゴンの巣を話してしまう。

そしてヒックはトゥースを隠していたことをストイックに失望される。

トゥースを連れてドラゴンの巣に向かうストイックらバイキングたち。置いていかれたヒック。

復活

ドラゴンの巣にたどり着いたストイックたち。だが巨大なドラゴンの主にはなす術がない。
そこにドラゴンに乗ったヒックとアスティら仲間たちがやってくる。
ドラゴンと仲間と共に、主を倒すヒックとトゥース。

宝を持って帰還

気絶したヒックが目覚めると、ドラゴンに乗るバイキングの光景が。バーク島ではバイキングとドラゴンは共存している。

映画『ヒックとドラゴン』のテーマ

外的なストーリーは『 ドラゴンを倒す 』。

対象が「最初は島を襲うドラゴン」、最後は「ドラゴンを従えている主を倒す」に変化しました。
ですが、一貫して敵を倒すということには変わりません。

内的なストーリーは、『 父に認めてもらう 』。

ヒックはバイキングとして仲間と共に戦いたいのです。
ですが身体が弱いヒックはみんなからも馬鹿にされ、理解されません。

そんなヒックは、1人で飛べなくなってしまったトゥースと心を通じ合い、そしてお互いの欠点を補い合うことで、父に認められるバイキングへと成長・変化し、ドラゴンの主に闘いを挑みます。

ヒックには強い身体が、バイキングにはドラゴンを理解しようとする心が、ドラゴンには正しい道へ導いてくれる者が足りませんでした。

それぞれがそれぞれの欠点を補い合った時、世界に新しい秩序が生まれるのです。

映画『ヒックとドラゴン』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーともう一つ大切な要素、『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

夜のバーク島。
ヒックのナレーションに合わせ、ドラゴンの群れにバイキングが立ち向かうシーンです。

バイキングとドラゴンの対立、ヒックの島の中での立ち位置、ヒックの特技、アスティら仲間たちとゲップの登場、伝説のドラゴン・ナイトフューリーの存在、バイキングの長でありヒックの父であるストイックとの関係。

それらがすべて始まってから8分30秒の中で説明されています。

味方であるはずの仲間たちからはバカにされ、父には信頼されていない。最初から追い込まれた状態で物語は始まります。

ゲップは今後ヒックにドラゴンの倒し方を教えます。この時点でヒックの心の中についても忠告しますが、ヒックはまだ理解できません。

そしてストイックに対してもヒックを育ててやろうと助言をします。

ヒックがドラゴン訓練に参加させられる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ドラゴン訓練をする過程で、アスティ・フィッシュ・スノット・ラフ&タフの個性を見せ、ドラゴンとの戦い方を教える形で観客に説明しています。

第二幕の前半は、ヒックとナイトフューリー・トゥースの絆を深め、二人で飛べるようになる過程を中心に描きます。

ヒックの絵描きと発明の特技、それぞれの特徴を使って関係が築き上げられています。

まさにヒックにしか出来ない物語です。

同時に誰も知らなかったドラゴンの新しい知識を得て、訓練でも活躍。徐々に島の仲間たちにも認められていきます。

評価が上れば上がるほど、トゥースのことは言えなくなる。

ジレンマがどんどん大きくなっていきます。

第二幕の後半は秘密がバレてしまい、すべてを失うまでを描きます。

終わりが一番追いつめられるシーンなので、序盤はストイックからも認められ、ドラゴン訓練の最終訓練に挑むことが決まる、などヒックを持ち上げます。

そしてドラゴン最終試験。

ドラゴン訓練のストーリーとトゥースとのストーリーが交差し、ヒックはストイック、島の仲間から信頼を失い、トゥースも奪われてしまいます。

しかしヒックはストイックたちを助けに向かう。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

ドラゴンに乗ったアスティ達と共に、ヒックとトゥースはドラゴンの主と戦います。

ストイックがトゥースを助け、ヒックに謝ることでヒックとの内的ストーリーを終わらせ、クライマックスはドラゴンの主との戦いに集中させています。

彼のこれまでの経験とトゥースの力を合わせ、ドラゴンの主を倒します。

オープニングは夜のバーク島でドラゴンと戦うバイキングでしたが、ラストシーンでは昼にドラゴンに乗るバイキングの光景で終わります。

さいごに

完璧な人間などいない。
だけど助け合えば新しい世界・秩序を作ることが出来る。

反復のセリフを使って変化を見せたり、飛行シーンは手に汗握るスペクタクルなアクション、そしてヒックの成長に感動する。

細部まで作りこまれた見どころのあるとても素晴らしい映画でした。

次回は『パディントン2』を研究します!

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-fin-

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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