映画『ジュラシック・パーク3』の解説(ネタバレ有)前作ロストワールドの失敗を修正した素晴らしいエンタメ作品
こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。
今回の深掘り映画は『ジュラシックパーク3』です。
2001年公開のSFスリラー映画。
監督ジョー・ジョンストン、脚本ピーター・バックマン、アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー。94分。
ジュラシックパークシリーズ3作目の本作は映画独自のストーリーとなり、監督もスピルバーグから『ミクロ・キッズ』『ジュマンジ』などを手がけたジョー・ジョンストンに、スピルバーグ自身は制作総指揮に移りました。
脚本にはアレクサンダー・ペインとジム・テイラーという職人が加わり、内容がよりエンタメに仕上がっています。
映画『ジュラシック・パーク3』が観られる配信サービス
この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。
配信状況
サービス | 配信状況 | 配信種別 |
---|---|---|
U-NEXT | ◯ | 定額 ※1 |
Prime Video | ◯ | 定額 ※1 |
NETFLIX | ◯ | 定額 ※1 |
Hulu | ◯ | 定額 ※1 |
Disney+ | × | ー |
TSUTAYA DISCAS ※3 | ◯ | 定額 ※1 |
※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。
この記事の情報は、2024年4月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。
個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT。
U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。
他にもオススメの動画配信(VOD)サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。
映画『ジュラシック・パーク3』のヒーローズジャーニー
それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。
ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!
日常世界
恐竜の住むソルナ島近くでハングライダーをしているエリックとベン。恐竜に襲われる事故にあい、ソルナ島に二人は不時着しようとする。
アランはラプトルは会話をしているのではないか?と研究を続けているが、世間の興味はジュラシック・パークでの出来事しかなく、研究資金が集まらずに悩んでいる。
冒険への誘い/冒険の拒否
アランに会いに来たカービーとアマンダ。上陸禁止のソルナ島上空を飛べる許可を得たと話し、その案内をして欲しいと頼まれるが断るアラン。多額の資金を提供すると言われ、心が動く。
賢者との出会い
ビリーとともに飛行機に乗っているアラン。カービーとその仲間は上陸しようとしているようで、アランが反抗すると気絶させられてしまう。
戸口の通過
目覚めるアラン。飛行機はソルナ島に着陸し、カービーたちは誰かを探しているようだ。
早速恐竜に襲われてしまい、急いで飛行機で脱出しようとするも失敗。飛行機は壊れてしまい、衛星電話も仲間もろとも恐竜に食われてしまった。
試練、仲間、敵
カービーとアマンダは元夫婦であり、息子のエリックを探しにきたとアランに話す。
脱出を目指しながらエリックを探すことになる。不時着したパラグライダーとビデオカメラ、ベンの死体を発見。エリックは生きて着陸したようだ。ラプトルの卵を見つけるアランたち。
最も危険な場所への接近
朽ち果てた研究施設を見つけ、エリックがいるのではと中に入るアランたち。と、ラプトルたちに襲われてしまう。
最大の試練
孤立してしまい、ラプトルに囲まれるアラン。絶体絶命の危機をエリックが助けてくれる。
報酬
エリックと海岸にある船に向かって移動し始めるアラン。ビリーたちと合流する。
ビリーがラプトルの卵を研究資金のために盗んでおり、ラプトルはそれを取り返そうと襲ってきていた。アランはビリーに激怒するも、卵はしてても意味がないと保管しておく。
帰路
プテラノドンが飼育されていた鳥籠に迷い込むアランたち。エリックがプテラノドンに襲われ連れて行かれるが、パラグライダーを使ってビリーが助ける。しかし今度はビリーが襲われ、川に流されていく。
復活
船に辿り着き、衛星電話を見つけるアランたち。旧友のエリーに助けを求めるアラン。
恐竜が再び襲ってくるが、なんとか撃退する。海岸に辿り着きそうなところでラプトルに囲まれるアランたち。アマンダが卵を返し、見逃してもらう。
宝を持っての帰還
エリーが手配した軍がアランたちを救出しにやってきた。ビリーも重傷を負いながらも生きていた。脱出するアランたち。脱走したプテラノドンが空を飛んでいく。
映画『ジュラシック・パーク3』のテーマ
原点回帰がテーマとなって作られた本作は、主人公も一作目のアランに戻り、テーマも一作目と同じく
『自然を侮るな』
となりました。
同じように人間の行動も批判的に描かれており、恐竜の島を観光に使う、恐竜の復活・研究、卵を盗むキャラクターたちにはことごとくバチが当たっていますね。
ラストシーンではプテラノドンが世界へと旅立っており、自然は人間に管理できないことを表しています。
内面的なドラマではアランとビリー、カービー・アマンダ・エリックの関係性で家族の絆を描いています。
映画『ジュラシック・パーク3』をさらに詳しく
ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。
第一幕
オープニング。
『ジュラシック・パーク』のタイトルとラプトルが切り裂く爪痕。
ソルナ島の全景から、船とパラグライダーを楽しむベンとエリック。船は恐竜に襲われ、エリックたちはソルナ島へ飛んでいく。
音からジュラシックパークを連想させ、ラプトルの爪で今回の主役はラプトルだと示します。
ソルナ島は上陸できないが今も恐竜がいて、観光に利用されてるという設定をパラグライダーを使って説明。同時にこの映画の始まり、シーン0であるエリックたちの出来事を見せる。
状況説明と物語の始まりをオープニングだけで処理していて素晴らしいです。
続いてアランとエリーの登場。
二人は結婚していませんが、深い絆があること。アランはラプトルの研究をしている。エリーには幼い子どもがいること、の伏線や説明をしています。
エリーと結婚していたらソルナ島の案内に一緒に行かないのは不自然であり、誰が救出するのかという問題にもなるので辞めたのですかね。
アランのプライベートのシーンが終わったら仕事面である演説のシーンに続きます。
アランは世間からジュラシックパークの人と思われている、ジュラシックパークの存在を否定、ソルナ島にはもう行きたくない、などが観客のリアクションや質問で観客に説明されます。
ユデスキーたちのシーン。
悪役というわけではありませんが、すでにカービーたちの準備は始まっています。
絶対にいるシーンというわけではありませんが、ユデスキーたちが登場するシーンはあまりにも短いため、あらかじめ出して彼らの実力はプロレベルだというフリの意味があると思います。
最後の爆発で何かめんどくさそうなことにアランたちが巻き込まれそうだな、という予感もしますよね。
ビリーの登場シーン。
アランの部下で若く、技術を使いこなし、意欲的なキャラクターだと説明します。
さらにカービーが登場。次のシーンへと繋ぎます。
カービー、アマンダと会うシーン。交渉という会話が続くシーンですが、カービーとアマンダが交互に話すことで飽きずにスピーディーに話が進ませています。アランは第1作と同じようにお金で動かされてしまっていますね。
『ソルナ島に着陸する』これが第一ターニングポイントです。アランを気絶させることで着陸や外に出ることのやりとりをカットすることができ、スムーズに話が進んでいますね。
第二幕
上陸してすぐにスピノサウルスに襲われ、飛行機がジャングルに突っ込み大破してしまう。
最初のシーンでアランたちを一気に最悪の状況まで行かせる速さは素晴らしいですね。スピノサウルスはティラノと戦わせて勝たせることで、今回の最強のキャラクターはスピノサウルスだと表しています。木の上や飛行機の胴体を使ったアクションシーンはアトラクションのようで面白いです。
カービーがアランに説明する形で、カービーの目的であるエリックを探すことが観客にも説明されます。カービーとアマンダの関係の修復も所々に挟まれ、ちょっとしたサブストーリーになっていますね。
カービーの資金提供の話は嘘だとはっきりさせることで、のちのビリーがラプトルの卵を盗む行動に繋がっていきます。ビリーがいなくなったことに焦るアランの姿で、アランのビリーに対する信頼が見えてきますね。
アランがラプトルに囲まれ最大のピンチの時に、エリックが登場して助けてくれる展開。前作のロスト・ワールドではサラがこういう登場の仕方をして欲しかったんですよね。今回はちゃんとやってくれています。
アクションシーンが終わったので、今度はアラン・エリックとカービー・アマンダのいわゆる『焚き火』のシーン。落ち着いてお互いの理解を深めるシーンを挟みます。
エリックとカービー・アマンダが再会するシーン。衛星電話の小道具を何度も利用していて素晴らしいですね。お腹に衛星電話を入れたスピノサウルスの登場の仕方も、スピルバーグの焦らしではなくサプライズな登場で新鮮です。
先の見えない一本橋を一人ずつ進む。飛べない人間がプテラノドンに襲われる。最高に面白いシチュエーションですよね。
『船に辿り着き、海へと向かうアランたち』これが第二ターニングポイントです。
第三幕
衛星電話を見つけ、エリーに電話をかけるアラン。スピノサウルスに襲われるアランたちとエリーの子供の可愛いシーンの対比はとてもいいアイディアですよね。テレビの中でも怪獣が暴れているなど芸が細かいです。
クライマックス、ラプトルに囲まれるアランたち。卵を返し、冒頭の共鳴腔の伏線を回収し、ピンチを脱出します。ビリーの持っていた技術がアランを助けてくれたんですね。
『大声はだめだ!』というユーモアでカービーたちの変化、家族の絆の復活という内面のドラマを完結させ、アランとビリーが再会。
プテラノドンの脱走で世界が新たな段階へと変わってしまったことを見せ、この映画は終わります。
さいごに
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』でできなかったシンプルなストーリー。
家族の絆という内面的なドラマなどもしっかりと補い、スピーディーな展開で時間も短くなって、素晴らしいエンターテインメント作品になりましたね。
次回はU-NEXTで配信中、ジョナサン・モストウ監督の『ブレーキ・ダウン』を研究します!
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