映画『セブン（SE7EN）』の解説（ネタバレ有）王道を唯一無二の傑作に押し上げた「７つの大罪」というモチーフ
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映画『ヴァージン・スーサイズ』の解説（ネタバレ有）美人5人姉妹が全員自殺。彼女たちの心に何があり、何がなかったのか
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こんにちは。
akira（@akira_movielabo）です。
今回の深掘り映画は『ヴァージン・スーサイズ』。
1999年公開のドラマ映画。監督・脚本ソフィア・コッポラ。97分。
原作はアメリカの作家、ジェフリー・ユージェニデスが93年に発表した『ヘビトンボの季節に自殺した5人姉妹』。
本作がコッポラの初監督作品で、製作には父のフランシス・フォード・コッポラが参加してますね。
Contents
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映画『ヴァージン・スーサイズ』が観られる配信サービス
この記事はネタバレも含むので、１度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。
配信状況
| サービス | 配信状況 | 配信種別 |
|---|---|---|
| U-NEXT | ◯ | 定額 ※1 |
| Prime Video | ◯ | スターチャンネル ※4 |
| NETFLIX | × | ー |
| Hulu | ◯ | 定額 ※1 |
| Disney+ | × | ー |
| TSUTAYA DISCAS ※3 | ◯ | 定額 ※1 |
※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。
※4 Prime VideoのスターチャンネルEXは、別途月額利用料が発生します。
この記事の情報は、2023年12月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。
個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT。
U-NEXTはトライアル期間が１ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。
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U-NEXTがおすすめな理由を元映画館アルバイターが語る!! 迷ったらU-NEXT
他にもオススメの動画配信（VOD）サービスを選ぶ基準別に紹介しているので、使うサービスに悩んでいる人や、気になる人はこちらの記事をご覧ください。
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映画『ヴァージン・スーサイズ』のヒーローズジャーニー
それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。
ヒーローズジャーニーって何？
という方はこちらの記事をどうぞ!!
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日常世界
ミシガン州に住むリスボン家にはテレーズ、メアリー、ボニー、ラックス、セシリアの美人5人姉妹が住んでいる。
冒険への誘い
セシリアが自殺未遂をする。
冒険の拒否
セシリアは自殺の理由を話そうとしない。
周囲は勝手に自殺の原因は近所に越してきたドミニクという少年のせいにする。
賢者との出会い
医師が両親に家の教育が厳しいと説明する。
戸口の通過
両親は夕食やパーティーを開き、近所の少年たちを家に入れる。
パーティーの最中、自殺するセシリア。
試練、仲間、敵
神父が両親に会いにくる。
セシリアは事故として処理された。少年たちはセシリアの日記を見つけセシリアの心を知ろうとするが、わからない。
夏休みが終わり、いつも通りに学校へ向かう4人姉妹。
最も危険な場所への接近
イケメンのトリップがラックスに好意を抱き、アプローチする。
カップルになる二人。
最大の試練
両親の許可をもらい、トリップたちが学校のダンスパーティーをエスコートする。ベストカップルになるラックスとトリップ。
報酬
親との約束を破り、家に帰らずトリップとセックスをするラックス。
帰路
トリップはラックスへの気持ちが冷めてしまい、一人残して帰ってしまう。
明け方帰ってきたラックスに激怒した母は姉妹に外出禁止令を出す。
ラックスのレコードも捨てさせる母。何週間も閉じ込める母。
夜な夜な男たちが家の屋根に上がり、ラックスとセックスをしている。それを覗き見する少年たち。
復活
少年たちは姉妹から『助けて』というメッセージを受け取る。
姉妹に電話をし、レコードを聴かせて思いを伝える少年たち。
ある夜、姉妹に呼ばれた少年たち。4人姉妹は自殺していた。
宝を持っての帰還
両親は引っ越して行った。
住んでいた街は崩壊していく。少年たちは姉妹の死を嘆くが、なぜ自殺したのかは全くわからない。
映画『ヴァージン・スーサイズ』のテーマ
オープニングでセシリアの自殺シーンがあり、医師が理由を尋ねると、『あなたは13歳の少女じゃないから』と答えるセシリア。
これがテーマを突いたセリフで、本作のテーマは
『13歳の少女の気持ちは当人しかわからない』
です。
ナレーションでわかりますが、この映画の視点はリスボン姉妹ではなく、周囲に住む少年たちが過去を振り返る視点で描かれています。
セシリアの日記をみたり、会話をする中で彼女たちの心を知ろうと試みますが、最後まで観客も同じようにわからずに映画は終わります。
フィクションの中でさえ答えが出ないまま終わり、観客を突き放す。
これこそが現実であり、他の映画と一線を画す映画となっています。
理由がわからないことに不満をもつ観客もいると思いますし、その苛立ちもまた現実を炙り出していますね。
映画『ヴァージン・スーサイズ』をさらに詳しく
ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。
第一幕
オープニング。
ラックスの姿。平凡な住宅街の日常。ニレの木が伐採される予定。セシリアが手首を切って自殺を試みて、救急搬送される。
医師に自殺の理由を尋ねられ、『先生は13歳の女の子じゃないもの』と答えるセシリア。タイトル。ラックスのウインク。
まずラックスの姿を見せ、この映画のモチーフである美人な少女たちを印象付けます。
飴を舐めることで色気も出していますね。
少年のナレーションにより、この映画の視点は美人姉妹ではなく、少年が過去を思い出すという視点で描いていることがわかります。
主人公は美人姉妹、視点は少年ということです。
そして面白いことに、このナレーションを担当しているジョバンニ・リビシは近所の少年役として出演している訳ではないんですよね。
映画に出てこない成長した少年が、美人姉妹の最後と町の終焉を語る。
面白いアイディアです。
そしてセシリアのセリフ。映画の最初のセリフで、この映画のテーマを示します。全体的に薄暗く陰湿な画面作りで、この映画の雰囲気をより暗く、ダークにしていますね。
青年から話を聞く少年たち。噂する母たち。
徹底して美人姉妹の周囲の視点から彼女たちを見ている視点です。
そして序盤にだけ出てくる少年・ドミニク。
愛の正当性を示すために2階から飛び降りますが、これは5人姉妹の自殺にも通ずる行動です。彼女たちの自殺も、彼女たち同士の愛を確かめるためにしていたのかもしれません。
夕食に呼ばれたピーター。
トイレを借りることで少し女性たちの世界に入りかけますが、やはり男には入れない世界であり、すぐに追い出されます。
入れ歯も揶揄われ、逃げるように帰っていくピーター。部屋の中や机の上を映すシーンが多いですが、これは彼女たちの世界を表しています。
乱雑で理解できない雑貨や化粧品ばかり。でもこれが彼女たちの心の中です。
セシリアが自殺する。
これが第一ターニングポイントです。
第二幕
墓地労働者のストライキのアイディアもなんでわざわざ入れるのかと思いますよね。埋葬ですらすんなりとやらせないようにしているのでしょうか。
神父が家を訪れる。父は野球を見て、母は寝込んでしまっている。同じ部屋で寄り添っている姉妹たち。両親はバラバラになり、姉妹は一緒になっているこの構図がすでに出来上がっています。
トリップのイケメンでいい人そうだけどなんとなく芯はダメそうな登場シーン、良いですよね。コッポラのセンスを感じます。
大人になったトリップのインタビューシーン。彼は最も彼女たちに近づいた男であり彼女たちの人生を狂わせた男なので、特別にインタビューシーンがあります。
まだ生きているのでその時の気持ちを聞けるという姉妹たちの対比にもなっていますね。
彼も大人になって幸せになっている訳ではないのが、この映画の誰も救わせない恐ろしいところです。
映画が始まって半分のところで、学園祭のダンスパーティーが開かれます。
父がトリップに条件を説明するやりとりは丸ごとカット。説明は無駄なセリフを産むだけなので、手早く処理しています。
同じく父が娘たちに説明するところもカットして、反応だけを見せていますね。
一方で母がトリップたちに警告するシーンは見せています。
娘たちが大切がゆえの母の厳しさ、徹底して管理している印象と、帰ってきた時に激怒するための伏線ですね。
外出禁止になる姉妹たち。
これが第二ターニングポイントです。
第三幕
レコードを捨てられるラックス。
青春時代にとって音楽は重要なアイテムであり、この映画では音楽を多用しているので、捨てられる意味はとても重要ですね。
二幕ではほとんど登場しなかった少年たちの視点を中心に三幕は描かれていきます。
ニレの木を守る姉妹。病気になったニレの木はセシリアを表していますね。その病気は周囲の木にも感染していってしまうのです。
旅を妄想する少年たち。彼女たちが外の世界へ逃げ出そうとしていると勝手に男は考えている訳ですね。『ボボ』の意味はわからないです。
少年たちとの電話も禁じられた姉妹。呼ばれた少年たちが向かうと、4人姉妹は自殺をしていました。
セシリアもそうですが、姉妹それぞれの自殺シーンは見せずに結果だけを映しています。
彼女たちが何を思い、どんな顔で死を迎えたのか。それは誰にもわかりません。
ラストシーン。最後に切られたニレの木が映ります。家の前のニレの木ではなく、別の切られた木。オープニングにあったラックスの最後の姿でしょうか。
さいごに
全体的に暗めな映像で陰湿な雰囲気を出し、美しい少女たちの短い人生を切り取った本作。
とても面白かったですね。これが初監督作、さすがソフィア・コッポラです。
次回はリドリー・スコット監督作の『エイリアン』を研究します！
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-fin-
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ABOUT ME
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
