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映画『ラッシュ/プライドと友情』の解説(ネタバレ有)抜きつ抜かれつ、まさにレースのような構成

ラッシュ
akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ラッシュ/プライドと友情』です。

2013年のアクション映画。
監督ロン・ハワード、脚本ピーター・モーガン。122分。

1976年のF1世界選手権で実在した2人、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントを題材にしています。
大事故、奇跡の生還からの復活、最後のレース展開も実際の出来事。すごいですね……。

ニキとハントの2人を並行して描いているので、ヒーローズジャーニーの解釈は人によって違うのかなと思います。僕は主人公はニキと捉えて考えました。

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映画『ラッシュ/プライドと友情』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Videoレンタル ※2
NETFLIX×
Hulu定額 ※1
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。

この記事の情報は、2023年12月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『ラッシュ/プライドと友情』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

新人F3ドライバーのニキ・ラウダとジェームズ・ハント。
レースやマシンに関する知識は誰にも負けないニキと、カリスマ性と類稀な才能を持つハント。
お互いにF1を目指すライバルだ。

冒険への誘い

自力でF1チームと契約したニキ。

冒険の拒否

オーナーにドライバーの契約を求めるニキだが、オーナーは怒る。

賢者との出会い

クレイに仲間と認められるニキ。

戸口の通過

ハントもF1の参戦が決まる。

試練、仲間、敵

フェラーリと契約し、世界チャンピオンになったニキ。
来季は絶対に勝つと意気込むハントだが、チームのオーナーは資金不足から解散を告げる。妻のスージーとの関係も悪化する。

最も危険な場所への接近

マクラーレンとの契約を決めるハント。
新シーズンが始まり、ニキは順調に勝ち点を重ねていく。一方のハントはマシンの違反などが重なり、成績が伸びない。

最大の試練

スージーの浮気が発覚し、スージーと別れるハント。

報酬

吹っ切れたハントの快進撃が始まる。ニキはマルレーヌと結婚する。

帰路

最難関のサーキットであるドイツグランプリ。
悪天候のためレースの中止を提案するニキだが、ハントらに反対され、多数決でレースは決行。ニキは大事故に遭い、大火傷を負ってしまう。
離脱している間に勝ち点を重ねるハント。辛い治療をするニキ。

復活

イタリアグランプリでニキは復活。勝ち点を取り、世界王者へ王手をかける。

宝を持っての帰還

最終戦の日本グランプリ。
悪天候だがレースは決行。ニキはマルレーヌを想い棄権する。命を懸けて完走したハントが世界チャンピオンになる。

映画『ラッシュ/プライドと友情』のテーマ

ニキ・ラウダとジェームズ・ハント。お互いに讃え合うライバルとなりましたが、その生き方は真逆とも言えます。

自分を証明するためレースに命を懸け、短いながら人生を楽しんだハントと、マルレーヌを想い2人で生きたニキ。

どちらも素晴らしく、しかし両方を得るのは難しい。

職業の物語を通じて、

自分は何のために生きるのか?

と問いかけてきます。

映画『ラッシュ/プライドと友情』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
クレジットとF1グランプリの実況の声。ニキのナレーションでF1の危険な世界とそこにいる人間、自分のことについて語ります。

文字から音声、そして映像へと徐々に情報量が増えていきます。

F1がモチーフなので、一発でわかるF1のシーンから入り、同時にニキの職業も見せています。
そして二つのことで有名だと強調してからハントが登場し、彼とのライバル関係を説明。
もう一つの大事故については伏せておきます。
後に大きく展開が変わるシーンをオープニングに持ってくるのはよくある構成ですね。

ニキの最低限の説明が終わったら、続いてハントの紹介。
レーサーであることはすでにわかっているので、ハントの人間性について見せていきます。

ニキがF1の危険性を語ったら、ハントはレーサーについて語ります。
ハントもまた、危険な世界だからこその人生への価値観を持っています。

ハントのガールフレンドに説明する形で、チームやマシン、レースを説明していきます。
またガールフレンド視点でハントがレース前に吐いてしまうことも見せています。
ガールフレンド視点はつまり観客視点であり、ハントを客観的に見せることでハントの内面には人には見せられない負の面もある、ということを印象付けています。
ハントがあれだけ自信満々に見えても、レース前には吐いてしまう。そういう矛盾も、ハントの魅力です。

大きなスポーツほど実況などで自然に説明が出来るのは良いですね。
この映画でもテレビの実況やナレーションで説明する形が多用されています。

そしてハントとニキの初レース。無駄なリスクを負わないニキ、無茶をしてでも勝利を目指すハント。ラストへと通じる価値観です。

レースに勝利し、最優秀ドライバーに選ばれたハント。一歩リードしていると思いきや、ニキがF1チームと契約しハントを追い抜いていきます。

メカニックを論破するニキ。
彼の能力の高さ、徹夜しても元気。という普通と違う人間なんだと見せています。
実力で地位や仲間を増やしていくニキ。しかし実力で出来ないことをしてくるのがハントです。女性にモテたり、オーナーの挑戦でF1に参戦するハント。

ニキ、ハントのF1参戦が決まる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

いよいよF1のレースシーンになる!というところで、事故のシーンを見せます。改めて危険な世界だということを壊れたマシンも使って強調します。

事故に対して吐いてしまうハントと、彼のミスだと指摘するニキ。事象に対するそれぞれのリアクションがキャラクターを説明しています。

リアクションの次は、アクション。スージーに会ったシーンでプロポーズ。
そして結婚へと、ハントのぶっ飛んだところを見せています。
結婚して幸せのピークなハントに、ニキのフェラーリの契約を知らされます。
ニキのF1チーム契約と繰り返しになっているのは少し残念かもしれません。

クレイとニキの車のシーン。フェラーリに対してもマシンの欠点を指摘しまくるニキ。クレイに対してもストレートに物言いするニキ。
周りの心を気にしないところが彼の欠点です。
しかしそれを変化させる存在が、続くパーティーのシーンで出会うマルレーヌです。

無駄なリスクを取らないニキが、マルレーヌのためには本気で車を走らせる。
ニキが好意を持っていることを示し、今後、マルレーヌが彼を変化させると予感させるやりとりです。

続くアメリカグランプリ。ハントを追い抜き、世界チャンピオンになるニキ。
マルレーヌとも恋人関係になり、公私ともにハントを大きくリードしていきます。

追い抜かれたハントはさらに落ちていきます。
所属していたチームはF1から撤退。新しいチームは決まらず、さらにスージーとの関係も悪化。
これまで描かれていた素行の悪さと自分の心の弱さという最初から持っていた欠点がハント自身を追いつめていきます。
しかしそれを救うのもまた、自分のたぐいまれな才能。そして新しく備わったニキへのライバル心です。

48分。物語のおよそ半分の所で、シーズンが開幕します。
しばらくはニキがリードし続け、ハントの苦しいレースが続きます。
追い打ちにスージーとの破局。しかしこれが本来の自分を取り戻すことになり、追い上げに繋がるのはハントならではですね。

お互いに横並びの状態になりました。

ニキは結婚し、幸せのピークというところで、幸せへの恐怖を感じています。
夫としてのニキとレーサーとしてのニキ。二つの間で揺れるニキのドラマが始まり、オープニングのドイツグランプリへと繋がっていきます。

そもそも自分の選択ミスなのに、タイヤ交換が遅いと仲間に対して苛立つニキ。自分しか信じない彼の欠点が焦りへと繋がり、自分自身を地獄へと叩き落とします。

ニキの治療のシーンもしっかりと丹念に見せることで、よりその辛さや痛みを感じさせ、しかしそれでも早く治ろうとすることでニキの闘志を表しています。
ヘルメットを被ろうとするニキを止めるマルレーヌ。この時点ではまだニキは変化していません。

そしてニキは復活しレースに参戦。ポイントを取って再びハントとニキが並びます。

ニキへひどい質問をした記者をハントが人知れず殴る。
自分のせいでニキに大事故を招いてしまったハント。ハントへの闘志で復活したニキ。
罵りあっていた二人の関係ですが、大事故をきっかけに大きく変化しました。

ニキから見える世界の演出でニキの心情の変化を見せるのは鮮やかですね。

そして最終戦の日本グランプリ開幕。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

ニキはレースへ向かうものの、マルレーヌのことを想い、リタイアします。
ニキは自分よりもマルレーヌを、レースで勝つことよりもともに生きることを選びました。

ハントは命を賭け、栄光を勝ち取り自分を証明しました。
かつてのオーナーや別れたスージーらも笑顔になる。仲間を大切にしてきたハントは周囲にも幸せをもたらし、おもいっきり人生を楽しみます。

ラストシーン。
お互いに罵りつつも、称えあうニキとハント。
あれだけ自信のあるニキがハントを嫉妬した唯一の男と話すことは、ニキの最高の賛辞ですね。レースで勝つだけが人生ではないと教えてくれました。

抜きつ抜かれつの二人の物語でしたが、それぞれ自分の幸せへとゴールしたのです。

さいごに

『命を懸ける』という、ほかのスポーツモノとは一線を画す題材の中でライバル関係を描いていました。
お互いがいたからこそ成立した物語でしたね。

次回はU-NEXTで配信中のアレクサンダー・ペイン監督作『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』を研究します!

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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